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総合内科専門医試験に落ちたらどうなる?ルート別の「次」と、いま備えておくこと

勉強していると、ふと「もし落ちたらどうなるんだろう」と手が止まることがあると思います。調べてみても、再受験の話・病歴要約の話・措置的受験の話が混ざっていて、結局自分の場合はどうなるのかが分かりにくい。実際、「落ちたらどうなるか」は、今年どのルートで受験しているかによって、意味がまったく違います。

先に結論をまとめます。病歴要約を提出して受験している人は、病歴要約さえ合格していれば、筆記に落ちても次年度以降は病歴要約の提出が免除され、筆記だけ受け直せます。一方、病歴要約の提出を免除される措置的受験は1回限りの機会なので、ここで不合格になると、次は通常の病歴要約提出ルートの要件を整えることになります。 同じ「不合格」でも、次にかかる負担が大きく違うということです。

この記事では、前半で制度上どうなるかを整理し、後半で「そもそもどこで落ちるのか、落ちないために今から何をすればいいか」を説明します。

落ちたらどうなる? 受験ルートで意味がまったく違う

「不合格の重さ」は、病歴要約を提出しているかどうかで決まります。

総合内科専門医試験の受け方は、大きく次の3つに分かれます。

  • 措置的受験(病歴要約提出免除)… 認定内科医の方に、経過措置として病歴要約の提出を免除する受験機会が設けられているものです。措置的受験とは、本来必要な病歴要約10症例の提出を免除したうえで受験できる、期間と回数を限った経過措置のことです。
  • 認定内科医から、病歴要約を提出して受験… 通常のルートです。
  • 内科専門医から受験… こちらも病歴要約を提出して受験します。

「落ちた後」を分けるのは、この3つのうちどれかというより、病歴要約を出しているか/その病歴要約が合格しているかです。組み合わせで整理すると次のようになります。

今年の受験の状況不合格になった場合、次はどうなるか
病歴要約が合格(A・B・C)+筆記が不合格次年度以降は病歴要約の提出が免除され、筆記だけ受け直せる
病歴要約がF+筆記は合格基準に到達試験全体としては不合格。病歴要約の対応が必要になる
病歴要約がF+筆記も不合格病歴要約と筆記の両方の対応が必要になる
措置的受験(病歴要約なし)で不合格免除の機会を使い切ったことになり、次は通常の病歴要約提出ルートの要件を整える

以下、それぞれを見ていきます。

病歴要約が通っていれば、筆記に落ちても次はどうなる?

病歴要約に合格していて筆記試験だけが不合格だった場合、次年度以降は病歴要約の提出が免除され、筆記試験を受け直すことになります。

日本内科学会の総合内科専門医試験用FAQには、受験して病歴要約のみ合格し、筆記試験が不合格で試験不合格であった場合、次年度以降は病歴要約免除で受験できる、と記載されています。内科専門医から受験する方についても、過去の総合内科専門医試験で病歴要約のみ合格・筆記試験が不合格だった場合は病歴要約提出免除の対象になることが、試験のページに案内されています。

つまり、病歴要約を一度通してしまえば、あの10症例をもう一度作り直すことにはなりません。不合格になっても、振り出しに戻るわけではないということです。

免除の有効期間についても、同じFAQでは「翌年のみ」「◯年以内」といった期限は示されていません。あわせて、研修歴や病歴要約等の出願要件が整っていれば、年度の制限なく何回でも受験できるとされています。

病歴要約を提出して受験している人にとっては、ここがいちばん大きな安心材料だと思います。今年の勝負は筆記だけであり、仮に届かなくても、次に持ち越されるのも筆記だけです。

出典:日本内科学会「総合内科専門医試験用FAQ」

措置的受験で落ちたらどうなる?

措置的受験(病歴要約提出免除)の機会は1回限りに制限されています。ここで不合格になると、次からは通常の病歴要約提出ルートの要件を整えて受験することになります。

日本内科学会の資料では、病歴要約の提出が免除される措置的受験は1回のみ受験できるものとされ、不合格の場合は通常の病歴要約提出ルートに移行することが示されています。

通常ルートで求められるのは、おおむね次のようなものです(詳細は要項をご確認ください)。

  • 認定内科医取得後の内科研修歴
  • 基幹施設・連携施設等でのカリキュラム制研修
  • セルフトレーニング問題
  • 病歴要約10症例
  • 筆記試験

したがって、措置的受験で受けている方にとって、不合格の意味は「来年もう一度筆記を受ける」ではありません。次に受けるときには、病歴要約をはじめとする出願要件を新たに整える必要があるということです。すでにサブスペシャルティの領域で診療している方や、症例を集めにくい環境にいる方ほど、この差は実感として大きくなります。

これは脅しではなく、今年の1回にどれだけ準備を寄せるかを判断するための材料として書いています。措置的受験で受ける予定の方は、この点を知ったうえで残りの時間の使い方を決めてください。

出典:日本内科学会「総合内科専門医試験」のご案内

病歴要約がF評価だとどうなる?

病歴要約が最終的にF評価となった場合、筆記試験が合格基準に達していても、試験全体としては不合格になります。

試験のページには、病歴要約評価は合否判定に含まれ、筆記(MCQ)の結果が合格基準に達していても病歴要約がF評価の場合は全体として不合格になる、と明記されています。病歴要約は「出せばよい書類」ではなく、合否そのものを左右する評価対象だということです。

一方で、評価の仕組みを知っておくと、必要以上に怖がらずに済みます。

病歴要約はA・B・C・Fの4段階で評価され、A・B・Cが合格、Fのみが不合格です。 学会の「病歴要約評価の手引き」に、4段階(A、B、C、F)のグローバル評価であること、A(優れている)・B(平均的)・C(合格基準を満たしている)を合格とすることが示されています。つまり、A評価を狙って書く必要はありません。

さらに、一次評価でFとなっても、その時点で最終的な不合格が確定するわけではありません。 同じ手引きには、グローバル評価で不合格(F)となったものについては複数の評価委員による二次評価を行い、再度個々の症例について評価したうえで、資格認定試験委員会の判定で最終評価を決定する、と記載されています。

なお、Fだった場合に次回どのように対応することになるのか(症例の扱いを含む)は、その年度の要項で確認してください。ここは年度によって案内が変わり得る部分なので、この記事では踏み込みません。

出典:日本内科学会「病歴要約 評価の手引き」

「落ちたら、もう取れない」は本当?

そうではありません。出願要件を満たしていれば、年度の制限なく何回でも受験できるとされています。

前述のFAQには、研修歴や病歴要約等の出願要件が整っていれば、年度の制限なく何回でも受験できると明記されています。「◯回落ちたら受験資格を失う」といった制限がある試験ではありません。(ただし、不正行為があった場合には一定期間の受験不可などの処分が定められています。これは不合格とはまったく別の話です。)

もうひとつ知っておいてほしいのが、措置的受験のような経過措置には、対象者や実施年度について個別の設定が置かれることがあるという点です。実際に、特定の年に認定内科医となった方に対して別途の措置的受験機会が設けられている例があります。

「自分は今年で最後だ」「自分にはもう免除はない」と思い込んでいる方は、一度、自分が該当する条件を最新の要項で確認してください。 ここは年度ごとに変わり得るところなので、この記事の記述ではなく、必ず学会の案内を根拠にしてください。

参照:日本内科学会「総合内科専門医試験」のご案内「総合内科専門医試験用FAQ」

では、落ちる人はどこで落ちるのか?

難関だから落ちるのではありません。丸ごと手つかずの分野を残したまま本番を迎えると落ちます。

ここから先が、この記事の本題です。制度の話は「落ちた後」の話ですが、いま知りたいのは本当は「落ちないためにどうするか」だと思います。

内科全般をしっかり研修してきた人にとって、この試験は知識の土台がすでにある状態からのスタートです。合格だけを目標にするなら、そこから出題形式に慣れ、抜けている部分を埋めれば届きます。

問題になるのは、自分の専門とその周辺しか診てこなかった場合です。日常的に診ている領域は、勉強しなくてもある程度取れます。一方で、研修で触れていない領域は、難しいから間違えるのではなく、そもそも見たことがないから解けません。 そしてこの試験は内科全体から出題されるので、その空白がそのまま失点になります。

合格率や合格基準から見た難易度の全体像は、難易度・合格率をまとめた記事で詳しく整理しています。あわせて読むと、「どのくらい難しいか」と「どこで落ちるか」がつながると思います。

落ちないために、いま何をすればいい?

最初にやるべきは、勉強量を増やすことではなく、「自分がまだ見ていない分野」を特定することです。

順番としては、次のように進めるのが現実的です。

  1. 1. 穴を探す。 「解けない分野」ではなく「見たことがない分野」を探してください。解いて間違える分野は、意識に上がっているぶんまだ安全です。危ないのは、模擬的に解いてもいない、教材を開いてすらいない領域です。分野名を書き出して、直近数年で自分が実際に診た記憶があるかどうかで印を付けると、はっきりします。
  2. 2. 広く薄く一周する。 空白の分野は、深く1つを掘るより、まず全体を通すほうが効きます。深掘りは、一周して余力があってからで間に合います。
  3. 3. 同じ論点に別の角度から戻る。 一度解いた問題を覚えてしまうと、理解したのか記憶したのかが分からなくなります。同じ論点を、別の症例・別の問われ方で解き直せると、定着しているかどうかが見えます。
  4. 4. 直前期に新しい教材を増やさない。 範囲が広い試験ほど、直前に教材を増やすと消化不良になりやすく、結局どれも中途半端なまま本番を迎えることになります。手を広げるより、いま持っている一つを終わらせるほうが得点になります。

具体的な進め方は、それぞれ別の記事にまとめています。どの分野から手を付けるかは分野別の優先順位の記事、いつ何を始めるかは時期別にやるべきことの記事、勉強の進め方そのものは勉強法の記事を参照してください。対策全体の地図はこちらの記事から辿れます。

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試験対策の全体像は「総合内科専門医試験の対策は何から?全体像」、ほかの記事は記事一覧からご覧いただけます。

よくある質問

総合内科専門医試験に落ちたら、翌年もう一度受けられますか?

受けられます。日本内科学会のFAQでは、研修歴や病歴要約等の出願要件が整っていれば、年度の制限なく何回でも受験できるとされています。ただし、必要になる出願要件は今年どのルートで受験したかによって変わります。

落ちたら、病歴要約は毎回出し直しですか?

いいえ。病歴要約が合格していて筆記試験だけが不合格だった場合は、次年度以降は病歴要約の提出が免除され、筆記試験を受け直すことになります。

病歴要約の免除には期限がありますか?

現行のFAQでは、「翌年のみ」「◯年以内」といった期限は示されていません。ご自身の該当条件は、受験する年度の要項で確認してください。

病歴要約はA評価でないと通りませんか?

いいえ。評価はA・B・C・Fの4段階で、A・B・Cが合格、Fのみが不合格です。A評価を狙って書く必要はありません。

評価にFがついたら、その時点で不合格が確定しますか?

確定しません。一次評価でFとなったものについては複数の評価委員による二次評価が行われ、資格認定試験委員会の判定で最終評価が決まります。

筆記が合格点なら、病歴要約がF評価でも合格できますか?

できません。筆記の結果が合格基準に達していても、病歴要約がF評価であれば試験全体として不合格になります。

措置的受験で落ちたら、次はどうなりますか?

病歴要約の提出が免除される措置的受験は1回限りの機会です。不合格の場合は通常の病歴要約提出ルートに移り、病歴要約10症例を含む出願要件を整えて受験することになります。

措置的受験の対象かどうかは、どこで確認できますか?

日本内科学会の試験ページと受験要項で確認してください。対象者や実施年度について個別の設定が置かれることがあるため、この記事ではなく学会の最新の案内を根拠にしてください。

落ちるとしたら、どういう落ち方が多いですか?

総合得点がわずかに足りないというより、研修で触れてこなかった分野を手つかずのまま本番に臨んだ結果であることが多いと考えられます。まず、自分がまだ見ていない分野を特定するところから始めてください。

この記事を書いた人

総合内科専門医

総合内科専門医

総合内科専門医・循環器専門医として、二次救急、三次救急など急性期病院で救急診療・入院治療などを10年以上従事しています。NaikaQuestでは、内科専門医試験・総合内科専門医試験の対策を、単なる暗記ではなく「同じ論点を角度を変えて解ける力」に変えることを目指し、問題演習サービスを開発・運営しています。